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僕のイリアス・オデュッセイア詩画
     『ないない王のオデュッセウス』
           TROGREEIECES_001
  
詩画へ至る、断章



回想…
イラストレーターという職業柄、これまで色々なものを描いてきました。けれども、歳を重ね
るにしたがって仕事の依頼が少なくなりました。普通、キャリアーに準じて仕事は増えるもの
でしょうが、魅力がなったのでしょう…。まあそれはそれとしまして、生かされているかぎり
結局は自分自身がどうなのかということですから、クライシスはチャンスという前向きな精神
でもって、また元気よく好きな絵を描いていこうと思っています。

余談ですが、むかし出雲の王が霊力補給のために外来魂(龍蛇様というセグロ海蛇)を注入し
て充電をはかり、体内をガチッと強化したという神話があります。そこで私も「今日もガンバ
ぞ!」ということで、異国ギリシャの神話伝説からトラディショナルなエネルギーを補給する
ことにしました。



神座…
ギリシャにはギリシャ悲劇というものがありますが、悲劇の発端をなす物語にトロイエの木馬
でおなじみの『イリアス』『オデュッセイア』があります。その一つ『オデュッセイア』では
機智にたけた狡猾な戦士が登場します。主人公のオデュッセウスですが、私にはこの男がどこ
かの時点で愚者に変貌したようでなりません。そのことはとても興味深い謎ですが、まるで秘
かになされる "細胞の死"によって毛虫が蝶に変身するアポトーシスにも似て、愛すべき男とな
ってゆきます。遥かなる海を渡って飛ぶ蝶のように、一人オデュッセウスだけが飄々としなが
らも柔軟な強度をもって流離します。



運命…
人はこころ穏やかに過ごそうと願っても、争いごとが絶えまなくつづくのが我々が住んでいる
この世界です。ギリシャ悲劇は人間の運命を物語っていますが、ギリシャにかぎらず、人は古
来より神々に神託をうかがって生きてきました。神託とはいっても所詮は人間であるカンナギ
が占った情報です。その情報にふりまわされて、チェスの駒のように人間の運命が弄ばれてゆ
きます。そのことがギリシャ悲劇には濃厚に書いてありますが、現代のこの瞬間においてもお
なじことで、AIが予測したデーター(神託)によって人々は踊らされています。この先我々は
どうすればいいのか、運命を戯言の手から我々の手にとりもどすために、私は蝶になったオデ
ュッセウスに導かれ、旅立ちて、体内をゆるやかにガチッと強化することを夢みています。


        
再出発…
オデュッセウスは女神アテネに耳元でそっと囁かれ、Bー29にも似た兵器、トロイエの木馬を
つくることになります。しかし、それ以降は雨の日も嵐の日も孤独法師のままノー天気に漂泊
しているようでなりません。愚者となったオデュッセウスの大らかな背後に貼りついている悲
哀とあいまって、私をかぎりなく魅了します。幻影は…「サルトルの蠅、トロイエの蝶」…そ
のトロイエの木馬のお腹こそが最強の戦士であったオデュッセウスの " 細胞の 死に場所"とな
って、愚者になるための再生の神座(かみくら)となってゆきます。血と汗と泥とにまみれる
トロイエ陥落前夜の寝静まった戦場で、一人しずかに木馬の中で夜神楽を舞う毛虫の男、それ
こそが私の眺めているオデュッセウスの立ち姿なのです。 2018_11_22




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         TROGREEIECES  
                                   トロギリイエーシャス_001