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VIVA MICHIHICO MIGUMI                    

WEB MUSEUM                

Atelier Snow_Drop

Illustrator & Poet

 

 







 

 








ピ ス ト ー ル の 百 合

     
+     立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花 
  花の鱗は美しく

     父は花を育てるのが好きだった。菊、石楠花、躑躅、松の鉢物がことに好きで、庭の隅にあった築山には水仙や百合、椿や
     芍薬などが無造作に咲いていた。鉢物の数は半端ではなかった。それがために、夏になると、三千彦! たっぷり水を頼む
     ぞと言われ、朝夕それらの植木にじょうろで水を与えるのが私の日課となっていた。そのことにうんざりしていたからは好
     きになれなかったが、咲けば美しいと思った。祖母はよく「花は蟻に舐めてもらって咲くんだよ」と言っていた。嘘か実は
     ともかくとして、私は芍薬に群れている山蟻をよく観察することがあった。

     牡丹はお寺で咲き誇っていた。向日葵はガキどものように大きな顔をしていたが、墓地に咲いている曼珠沙華はどこかしら
     少女たちの手下のようで妖しかった。花の名前は今もおぼえられないが、ワイシャツについている貝ボタンのように輝く名
     もない路傍の小さな花々や、白い花が好き。






               

 

 

 




                              

 

 

 

 

 



         
                                                    ピストールの百合

 

 

 

 

 

 

 

         

 

 

 

 

 

 

 

                    

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

みち彦の