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僕のイリアス・オデュッセイア詩画
+ ILIAS & ODYSSEIA
ないない王とトロイアの女たち
ギリシャの詩人ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』は十年の歳月をついやしたトロイ
ア戦争と、その後十年を流離しつづけたオデュッセウスという男の後日譚がしるされてある叙
事詩です。登場人物はみな似たような名前ばかりで、地名もなかなか頭に入らず、若い日に読
んではみたもののすぐ投げだした代物です。けれども、歳を重ねてから読んでみたらこれが大
変に面白く、私なりの「イリアス・オデュッセイア」で悪戯をしながら創作してみようと思い
ました。
狡猾な詐欺師ともひねくれ者とも呼ばれたギリシャ軍の知将オデュッセウスは多重思考のできるマルチな男で、私には憎めず、ひょうひょうとした風のような男だという印象があります。
彼は『オデュッセイア』のなかで自分の名をウーテス(誰でもない)と名乗っていますが、そ
の暗示はとても興味深いメッセージだと思います。またそれへ加えて、幼いころ祖母から聞か
された小川未明の『赤いろうそくと人魚』の少女や、後で読んだ同作家の『月と海豹』の母親
像における無慈悲な姿が、トロイアの女たちの悲哀へかさなってなりません。
人類がオギャと生まれてから今日までくり返されている無益な戦争による苦悩や傷心、憎悪な
ど、それらすべてがギリシャ文学(悲劇)にはすでに書かれてあります。その奥深さに導かれ
ながら、ハインリッヒ・シュリーマンが童話のなかの一枚の挿絵を信じたことによってトロイ
ア遺跡を発見したように、誰でもない無人の王オデュッセウスの内なるソラゴコロの深遠さを
少しでも理解できればと願っています。そして絶望のはてに死んでいったトロイアの女たちの
夢見が「決して王にならない王」の謎解きによって、かの女たちの情念が「生」へむかって開
かれてゆくことを信じながら・・・
いつかの香具師が、いよいよこの夜娘をつれにきたのです
大きな鉄格子のはまった、四角な箱を車に乗せて
小川未明『赤いろうそくと人魚』より
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I N D E X
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I L I A S & O D Y S S E I A
ないない王とトロイアの女たち 詩画 Vol;001
I L I A S & O D Y S S E I A
ないない王とトロイアの女たち 詩画 Vol;
I L I A S & O D Y S S E I A
ないない王とトロイアの女たち 詩画 Vol;
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TROGREEIECES
トロギリイエーシャス_000
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