秋の門出
天金
の
秋
の
聖書
は
文語体
舊約
を
ひらくこともなく
ぬばたまの
黒き
の
表紙へ
塵
すこしずつ
今朝も
また
積もり
たる
・
われは
浮世
の
塵と
垢とを
身に
おびたまま
近代
の
白し電気
機関車
の
新約
特急列車にて
西へ
西
へ
と旅立つ
・
ひらかれぬ
まま
の
文語体
舊約聖書
は
初期キリスト教美術
=ビザンティン
の
本の
横へ
そっと
もどしつつ
無言
の
まま
「護り玉へや!」
光が
影が
あやなして
今朝
の
門出を
秋
は
門口へと
来て
われを
祝す
BIZANTIUM MOZAIC
秋の
木漏れ陽
の
なか
の
公園
の
池
の
水面に
映って
ちらばる
数本
の
樹々
・
樹々
は
さかさまに
伸び
て
金に
青く浮き
銀に
白く浮き
ゆら
ゆら
さざなみ
に
揺れて
映る
・
さざなみ
は
さまざまな
角度を
とり
さんぜん
と
かがやき
BIZANTIUM
の
MOZAIC
の
ようで
あり
さんた
まーりや
の
ようでも
あった
・
反転
の
樹々
は
両腕を
あげ
そして
しずかに
笑って
いた
やや白日夢
あれや
あれ
移情閣!
・
ゆきたくて
誰も
ゆけない
海の
上
の
花を見る
ひぐらしの
花は
しろし
白波
淵近く 流れ
建つは
六角
の
城
の
ような
衰残
の
さみどり
いろ
の
とんがりよ
・
ありゃ
孫文
の
記念館
・
六甲も
淡路
の
島も
瀬戸内も
四国も見えて
八方
を
窓に
移して
情を刺す
・
見れば
星と見紛う
海峡
の
明石
の
花よ
泡沫よ
波はモザイク
散って
まほろば
のびては
橋の
おおき橋
君!
見給えや
金角湾は
ボスフォロス
彼岸
ビュザンティオン
と
此岸
イスタンブルを
むすぶ
ガラタ橋
・
あれや
あれ
移情閣!
やや
白日夢
2009 Autumn
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