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U V A B R A N C O ・ U V A N E G R O
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詩画集『白ワイン黒ワイン』は吸血鬼の姿にカムフラージュした自画像からはじまる叙事詩的な作品集です。
この本を出版してから、すでに20年の歳月が流れましたが、本質的にはなにも変わらず、ぬくぬくした人肌を恋しがる贋吸血鬼のままでいる自分を発見するばかりです。だが、そうした弱々しさを悟られるのが恥ずかしくて、風や雲の気配をすすりながら、随分と間の抜けた人生を過ごして来たものだ。と、あらためて嘆息しながら苦笑いをしている毎日です。 栄養不足の子供たちは早く歩き、早く牙がはえて、早く大人になると聞いたことがあったが、俊足である自慢の脚も牙もいまではすっかりと衰えてしまった‥‥‥嗚呼、あのころの土や水が懐かしく、ぼくの手の足の指の眼球の毛細血管が、また疼きだす。 2005年11月仏滅日 |
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下記の書「少年の日に喪ひし片耳が騎士奏楽を聴きゐる夕べ」は、この作品集のために跋文を寄せて下さった歌人・須永朝彦氏が本の見返しに揮毫して下さったものです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
髪をふり乱している者。静かに心ふるわせている者。銀貨のウラとオモテのよな人生。 貴方は傷を負うていますネ。わたくしも怪我をしました。こうして、ギニヴィアの花は咲く。 死の皇子セバスティアンヌは、いつか舞い戻り雙肌(もろはだ)を脱ぐ。これは救世思想だが、現実は辛口である。 |
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■豫め喪はれたる耳に就いて 須永朝彦(歌人)
睫毛が慄(ふる)へ、三日月の横顔が笑ひ、蝙蝠が跳梁し、曲馬団の天幕がはためき、カーニヴァルが続き、人々の形影は一様に歪み、然も身体の一部がどこか損なわれてゐる。佐藤三千彦の絵は‥‥略‥‥四指も六指も、隻眼(ひとつめ)も角も、つまり欠落も過剰も共に異形である。そもそも佐藤三千彦が描いた横縞のシャツや水兵服の少年たちは、初めから右耳を有つてゐない。 *須永朝彦氏の跋文は、すべて正確なる旧字旧仮名使いですが、文字の都合上、新旧ないまぜになっていたり、文面もここでは一部欠落していることをお詫びいたします。 |
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『白 ワ イ ン 黒 ワ イ ン』
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詩画集/B-5判58頁 モノクロ 1985年発刊
跋文/須永朝彦(歌人) 帯/白石かずこ(詩人) 版元(株)岩崎美術社 |
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こちら、『白ワイン黒ワイン』は既に絶版です!
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